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HEXA BLOG

アナログゲームその他

HEXA BLOGその他アナログゲーム2015.6.5

ゲームデザインができるまで…(死闘編)

我思うゆえにミッツです

 

前回のブログでオリジナルゲームを作る記事シリーズを打ちたてましたので
今回はその続編として、引き続き『ヘキサグラム(仮)』の開発記事を進めます。
最終的に三部作くらいで終わりの目処をつけたいですね
書いていてなんですが、この記事、短くするの難しくてブログ縦長になってしまうので

 

作ろうとしているゲームルールや詳しい経緯は前回記事を参照いただくとして、
前回のあらすじは「テストプレイでは色々な意見をもらった」です。
なので今回は、その時のテストプレイヤー意見をどう汲み、ゲームへ練りこむか
という話を中心にどんな調整をしていったかを取り上げようと思います。
ゲームを良くするのも悪くするのも、実際、ここからが正念場です。 
 


 
【第1章:意見分析】

まずはその時に上げられたポジネガ色んな意見が混沌と並んでましたので、
それらが何に起因しているのか大別していきます。
ここでもらった意見をどんなカテゴリ分けするかも、腕と経験の見せ所です。
前回もらった意見は並べてみたら、こんな感じにカテゴリ別できました。

 

カード
 ×手札が少なくてやれることが狭い
 ×手札の良し悪しで、勝てるか負けるか半ば決まる
 切り札を秘匿しているのが楽しい
 
推移
 見知った相手との対戦には良いが、見知らぬ相手との対戦はワイワイにならない
 ×様子見になりやすい
 ×自分の陣営を間違えやすい
 昇順や降順の方向付けの戦略は面白い
 参加プレイヤーが多いほうが戦略や盤面の状況は広くなる

 
勝敗
 ×最後の集計がやりにくい
 ×大勝、大負けが少なく、引き分けになりやすそう
 逃げ切りゲームとしては楽しい
 ×終盤までのゲーム展開が平坦な感じ
 弱いカードが勝てるのは美しい

 
雰囲気
 ×世界観にはフィットしていない
 ゲーム内容はストイック 
 


 

【第2章:改訂の鉄則】

こうして挙げられた意見、および自分が把握している問題点を並べたら、
いよいよその解消について考えるわけですが、
自分は解決策を考える上で、2つの鉄則を自分に対して課しています

 

鉄則1

 コンセプト、同カテゴリに並ぶ好評意見を打ち消さないように解決策を考えること

  これは、今後のゲーム開発にブレが出ないようにするための原則です。
  改善のためのアイデアは無限に広がっていますが、
  それを節操なく使ってしまえば、ゲームの根幹のブレに気づかなくなります。
  イラストを描く時、部分々々で描いてたら、できた時の全体構成がズレてて
  もう治せない状態になっているのと似てます。
  また、コンセプトを振り返らないと、何が面白いのか自分でも分からないで
  作るハメになり、開発迷走のリスクが急激に高まっていきます。
  コンセプトは前回記事のとおり、以下の項目を改めて肝に銘じます。
  ———————————————————————————— 
   ■コンセプト
    ・ご家庭にあるトランプ1セットのみでできるお手軽さ
    ・六角形のイメージを使う
    ・パーティーゲームより、ジレンマと駆け引きを高めなコアゲームを目指す
    ・実行することはシンプルに1つ。だけど戦略の創発性は高く
    ・偶然よりも、選択が与える必然のほうにゲームの重きを置く
    ・加算以外の面倒な計算をしない(減乗除がない)、桁上がりもない
  ———————————————————————————— 

 

鉄則2
 1つの問題点に、1つの解決策を講じてはいけない
 必ず2つ以上の問題を1度に解消できる解決策を考えること

  任天堂の宮本茂氏の言葉でも有名な
   「アイデアというのは複数の問題を一気に解決するもの」
  にも似ていますが、自分としてはどっちかというと、
  ボードゲームデザインで有名なライナー・クニツィア氏が述べている
   「問題点が2つある場合よりも1つしかないほうが解決するのは難しいもの」
  という言葉に即した、ゲームデザインの合理性に基づく考え方です。
  1つの問題の解決方法は無制限に広く、ベストな選択肢を探すのが大変ですが
  2つ以上を1度に結びつけて解決する方法はそこまで多くないのです。
  それが結果的に、絞り込んだ指針を立てやすくしてくれます。
  また、アナログゲームはルール運用も人がやるため、ルール処理力は有限です。
  である以上、少ないルールで多くの問題を解決するのが上策になります。
 


 

 【第3章:改訂の実施】

2つの鉄則を踏まえつつ、今回、改善の焦点を当てたのは【カード】【勝敗】です。
ネガ意見の割合がやや多かったのと、たまたま解決策が頭に浮かんだからです。
(このへん、もっと論理的に順序だてられるとカッコいいんでしょうが
浮かんでしまったものは仕方ありません、こういう時は水ものなのです) 

 

問題点A:カード
 まず【カード】、具体的には手札の管理の変更を考えます。
 これまでのルールは要点を絞れば以下のとおりでした。
   ・「各プレイヤーに手札は6枚」
   ・「手札を1枚選んで盤面に配置する」
 6枚は手元に持つそこそこ上限枚数、これで少ないという感覚を与える以上
 ゲームの場がプレイヤーに要求する広さに比べ、選択肢6つでは少なすぎる
 ということになると私は考えました。
 そこで今回はルール改訂として
 ———————————————————————————— 
   「6枚のうち3枚を伏せ、3枚を表にして自分の前に並べる」
   「誰の前の手札でも1枚選んで、盤面に配置する」
   「1つの盤面には最大4枚までしか配置できない」
 ———————————————————————————— 
 というルールにしてみます。

  20150605_image01

 これにより他の人のカードも使える分だけ選択肢を最大9枚まで広げて、
 なおかつ手札の良し悪しによる有利不利を緩める構造にもなります。
 また、切り札の秘匿の楽しさは、伏せ札という形で残されています。

 

問題点B:勝敗
 次の問題は【勝敗】、これまでのルールでは
  ・6ヶ所ある盤面のうちの1ヶ所の、一番上にあるカードを見る
  ・両隣とも敵陣営のカードだった場合のみ、数字を比較する
  ・数字がどちらかに負けていれば伏せる
  ・これを6ヶ所の盤面すべてに対しておこない、抑えた盤面の多い陣営の勝利
 というものでした。
 こう、改めてルールを書いても、分かりにくい雰囲気が伝わってきます(笑)。
 こんなの考えた人は、地獄の業火にでも投げ込むべきでしょう。
 そこで今回は大きくルールを改訂し、
 ———————————————————————————— 
  集計はプレイヤーが交互に盤面1つずつ処理。
  交互に自陣営の支配する盤面1つのカードを手元へ入手する
  手元の貴族(絵札)が3枚以上になった時点で勝利
  手元の市民(数札)が7枚以上になった時点で勝利
  どちらも勝利条件を満たさず盤面がなくなった場合のみ、引き分け
 ———————————————————————————— 
 というルールにしてみます。

  20150605_image02

 これによって、前よりも集計がやりやすく(手元カードの枚数を数えるだけ)、
 そして何より、交互に勝利判定をおこなうので引き分けが少なくなります。
 勝利条件を2種類設けたことで、前回好評だった弱い数札の有効性、
 ギリギリの逃げ切り感なども抑え、貴族勝利狙いと市民勝利狙いという
 2種類の戦略が交錯する化学反応にも期待しています。

 


 

【第4章:テストプレイ】
では、ルールの改訂をおこなったところで早速テストプレイです。
きちんとした正しい改訂とテストプレイとフィードバックをおこなう限り、
改訂とテストプレイは何回も反復するのが良いでしょう。
特に今回のルール改訂では勝利条件の値だけは、テストプレイを経て
都度調整をするつもりで進めていました。

  20150605_image03 
  テストテスト!!
 
  20150605_image04 
  テストテストテスト!!
 
  20150605_image05
  テストテストテストテストテストォォォ!

 
その結果、今回のテストプレイでも、今までもあったものから新しいものまで、
色んなポジネガの意見が得られました。
 
 序盤の手札の伏せ方を考えるのが楽しい
 盤面の4枚制限が、どっちが先に置くかの良いジレンマを生んでいる
 集計がやりやすくなった
 ×終盤が確定的で盛り上がらない
 ×手札と場札の状態で、負け確定の試合になることが多い
 ×盤面を6角形に並べる意味がなくなった
 ×結局、表になっているカードを使っていくようになりやすい
 ×勝敗がギリギリになることが少ない 
 ×偶数人でしかプレイできないなど、人数制限がシビア

 

ルール改訂した部分は大体はうまく機能してくれているようですが、
まだまだ問題の要点となる部分が残っているようです。
特に大きな問題なのが「盤面を6角形に並べる意味がなくなった」という点、
ヒョー、コンセプトの1つをバッチリ潰してしまっていて、悲鳴ものですね

 

こんな調子で次回ブログまでに、果たして完成の見通しは立てられるでしょうか?
とりあえず当初の記事目的である、ゲームデザイン紆余曲折の苦悩のようなものが
ライブ感で伝わっていただければ、まとめた甲斐はありますが
それでは次回、最終回『ヘキサグラム(仮)』の顛末に、どうぞご期待ください

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