MENU閉じる

HEXA BLOG

いいモノづくり道

HEXA BLOGいいモノづくり道2008.7.11

ネットワークの、ちょっといい話

僕が大学生の頃…あるネットワークゲームに夢中になってる時期がありました。
講義が休講になろうものなら、すぐに家に帰ってログインする…ぐらいのハマり様でした。
大抵は事前に約束した友達と一緒にプレイするんですけど、急に予定が空いたときなどは、ゲームの中で知り合った、顔も知らないもの同士でプレイすることもよくありました。
そうやってゲームの中で知り合った遊び仲間の中に、みんなの尊敬を集める1人のスーパープレイヤーがいたんです。
ゲームが上手いというのはもちろんなんですが、それだけではみんなの尊敬は集められません。
その人(仮にSさんとしておきましょう)は口数が少なく、昼でも夜中でも、みんなのピンチに駆けつけてくれる、まさにヒーローのような存在でした。
必然的に、
「あのSさんは、一体どういう人なんだろう?」
という話題が挙がります。
「開発者じゃないのか?」
「その割に、平日の昼間にもプレイしてるぞ?」
「学生?」
「学生ならなおさら、夏休みでもない時期に一日中プレイしてるのはおかしいだろう?」
「学校にも仕事にも行ってない人??」
「う~ん、その可能性が高いと思うなぁ。」
「ある意味、うらやましい。」
「いーや、絶対開発者だって!その内仲良くなって、コネで就職させてくんないかな~。」
なんて推測を、毎日のようにしていました。
そしてその正体は、意外なところで判明するのです。


たまたま訪れた叔父の家で、Sさんの正体は突然判明しました。
「俺、知ってるよ!Sでしょ?トモダチだよ!一緒のクラスの!
 今から会いに行こうか?行こうよ!行こう!行こう!」
12歳の甥の口から突然Sという名前が出たのに驚いて、一緒にSさんに会いに行くことになってる事に気づいたのは、自転車で走り出してからでした。
Sさんは小学生だったのか…。
なんか本人が分かっちゃうと、これからゲームの中で会いづらくなんないかな…?
これからも敬語で話すべきなのかな…?
開発者と知り合って就職…なんて甘い夢だったか~。
なんて事を考えてる内に、「着いたよ!ここ、ここ!」と言いながら甥が入って行く建物は…

「大学病院…?」

甥に連れて行かれた病室では、甥の友達(S君)が一人、黙々とそのネットワークゲームをプレイしていました。
「よぅ!S~!またそのゲームやってんの?
 いいなぁお前んとこのお母さん、ずっとゲームやってても怒んなくて。」
「んー…?あー、お母さんは今ちょっと先生のとこに行ってる…。」
「げー!お前またレベル上げてんじゃん!
 もー絶対追いつけねーよ!」
ゲームに集中してるS君と甥は、イマイチかみ合わない会話をしながらも楽しそうに遊び始めました。
そんな2人の側で、僕は事態をなかなか飲み込めずにいました。

20080711_hosp2.jpg

するとちょうどその時、S君のお母さん病室に戻って来ました。
僕は挨拶もそこそこに、S君の事を色々質問したのです。
お母さんの話によるとS君は、2年ほど前からその病院に入院し、時々学校に行ける時期があるものの、そのほとんどを病院内で過ごす…という生活を送っていたそうです。

そうか…どおりでずっとゲームができるわけだ…。

お気楽な想像を巡らせていた僕は、なんだか申し訳ないような気分になってしまいました。
その様子に気をつかってか、お母さんはその後も色々と話しかけてくれたのです。
「この子が入院したばかりの頃は、ひどく落ち込んでいたものです。
 1年ほど前、主人が病院の先生に無理を言って、ゲーム機を置かせてもらったんです。 少しでも気晴らしになれば、と思って。
 私、最初は反対してたんですよ。ただでさえ、病院の中にこもりがちになってるのに、さらにゲームの世界に閉じこもるようになったら…なんて心配になって。」
大学生にもなって、同じゲームに夢中になってる男が目の前にいると知ったら、このお母さんはどんな顔をするんだろう?
「…でも、少しずつ明るさを取り戻していくこの子を見ていたら、何も言えなくなって…。私もよく知らないんですけど、最近のゲームって…インターネット?っていうんですか?なんか電話線を通して…遊ぶんですよね?」
「そ、そうですね。ネットワーク上で、外の人と一緒に遊んだり出来ますね。
 みんなと遊ぶと楽しいですよね!」
「そうなんです。みんなの役に立てるのが嬉しい、って。」
「みんなの役に…ですか。」
「ええ。私思うんです。確かにゲームの中の世界は現実じゃないかもしれません。
 でもそのゲームを通じて、この子が他の人の役に立ったり、感謝されてるって事は、紛れもない現実なんです。」

結局S君には、一緒にこのゲームで遊んだことがある事実すら伝えられないまま、帰って来てしまいました。
小学生のS君に比べて、遊ぶ目的に差がありすぎるような気がして、恥ずかしかったので…。
この日、お母さんが最後に言った言葉は、ゲーム制作に携わるようになった今でも、耳に残っています。
—-
こんにちは、ナカムラです。
いつになく小説風に書いたブログ、いかがだったでしょうか?
手前味噌ながら、ネットワークゲームの良い面を感じさせる内容になっていたのではないでしょうか?
ただ残念なことにこの話…100%フィクションでして…。
作中の「僕」と私ナカムラは全然関係ありませんし、入院している子のその後も心配して頂かなくても大丈夫で…あ痛っ!あせあせ(飛び散る汗)
石を投げないで下さいexclamationがく〜(落胆した顔)

RECRUIT

大阪・東京共にスタッフを募集しています。
特にキャリア採用のプログラマー・アーティストに興味がある方は下のボタンをクリックしてください

RECRUIT SITE