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製品事例
『MONSTER HUNTER PORTABLE 2nd G for iOS』- iPhone/iPadでも「ウルトラ上手に…焼っけましたぁー!」
こんにちは。メインプログラマーとして開発に参加させていただきました、平尾です。
今回はカプコン様の大ヒットタイトルの移植をさせていただくことになり、スタッフ一同大変テンションが上がっておりました。
が、喜びも束の間、このボリュームをしっかり動作させることが出来るのか、どこまでクオリティアップできるのか、そもそも操作はどうすれば良いのか。非常に大きなプレッシャーに圧倒されそうでした…
しかし、カプコン様のご指導ご協力のもと、スタッフ一丸となり力を合わせ、ついに世に出るに至りました!いかにして今の形まで持ってくることが出来たか、今の形に至るまでの開発裏話を各担当から紹介させていただきたいと思います!
【グラフィック/プログラマー編】
描画プログラムを担当しました good sunこと山口です。
描画担当ということで簡単ではありますが開発話を紹介いたします。
今回、描画処理で最重要視した部分は、
・iPadのフルHD解像度を超えた解像度(2048×1536)を余すこと無く使用する!
・そのうえで処理負荷をいかに低減するか!
という事でした。
しかし、PSPに比べて約24倍 のピクセル数に対して、描画パイプラインをそのまま再現しただけではパフォーマンスが不足してしまう部分があり、ここを乗り切るのが最大の難関でした。
描画パフォーマンスを向上させるためにほぼ全てのステージの描画順番を手動で並び替え、またエフェクトを高速に描画する為にAppleさん独自の OpenGLES2.0拡張命令を使用したりとシェーダーの最適化も極限まで行い、処理落ちギリギリのレベルで処理速度との戦いを続けました。
こうして胃が痛むような日々を乗り越えiPad3やiPhone4Sでも快適な速度で動作させることが出来ました!
是非フルHDを超えたiPad解像度での美しい大画面プレイをお楽しみいただければと思います!!
【グラフィック/デザイナー編】
デザインを担当しましたクリマヤです。
MHP2G for iOSではプログラマーだけではなくデザイナーも携わっております!
私からはデザイン面でのクオリティアップについて紹介したいと思います。
今回の移植にあたり、元々の素材をただ移植するだけではなくよりスマホに馴染んだものに出来ないか。そう考え、3つの作業を行いました。
1. UIのレイアウト調整
まず、PSPのゲーム画面をiOS端末で操作するには足りないものがありました。
そう、操作用のボタンです。
方向キーもなければアナログパッドもない、そもそもPSPの全てのボタンを使用しているものを、不足なく画面に表示できるのか…!!
PSP版を触りながら、ひたすら画面ごとにキーの使用状況を調べていきました。
ひと通りボタンの調査が済み、ボタンの表示領域が固まったら、あとはそれに合わせて画面を
再レイアウト!再レイアウト!!再レイアウト!!!
しかも各端末で画面比率が異なり、単純な拡大では許してくれません…
そのため1画面ずつ各端末で破綻がないよう、根気よく調整を入れていきました。
2. アイコンなどのUI素材の高解像度化
続いて素材の高解像度化です。
弊社内で作成されたテクスチャ超解像度ツールを駆使しながら、細かいところはデザイナーが1つ1つ手動で調整をかけていきました。
当初は縦横2倍にするという想定でしたが、プログラマーさんががんばっている中、
デザイナーも負けていられない!
Retinaディスプレイでより美しく表現することにチャレンジしたい!その思いから
UI解像度を4倍化させていただきました!!
ちなみにアイコンなどのドット絵のものは、PSPのデザインを損なわず高解像度化させるため、すべてベクターデータ化して対応を行いました。
3. 背景テクスチャの高解像度化
UIの調整中、PSP版のオリジナルデータの中に、気になる画像を見つけました。背景テクスチャの減色前のデータです。
PSPで使っている画像データは、容量の関係もありかなり圧縮されていました。その、減色前のデータが残っていたのです!
これを使わない手はない!
調整や確認をする必要は出てきましたが、基本的に減色前のデータを使用することで
モンハンの世界を更に美しくすることができました。
【PSP版】
【iOS版】
【操作編】
操作周りのプログラムを担当しました、上原です!!
iOS端末への移植について、ユーザーの皆さんが一番気になることは
「スマホでMHP2Gを操作出来るの?」
ということだと思います。
MHP2Gって結構複雑な操作ですよね?
スマホってタッチ操作ですよね?
大丈夫…?
問題ありません!!
クエスト中の操作については、PSPのボタンを表示する形ではなく、タッチ操作に適した操作法やUIへデザインし直しています。
各武器タイプ毎に調整を行い、狩猟笛操作UIなら狩猟笛が操作しやすいように、大剣操作UIなら大剣が操作しやすいようになっています!!
さらに、今回の移植でオリジナルには存在しなかった新機能を実装しています!
「ターゲットカメラ機能」です!
この機能を使うと、ボスモンスターをロックオン出来るようになり、
プレイヤーが常にボスの方を向くようになります。
ターゲットカメラのタイプは下記の3タイプから選べます。
Type1:カメラがボスを追尾(今回の移植オリジナル)
Type2:ボスの方へカメラが向く(MH3Gのタイプ)
OFF:ターゲットカメラ無し
Type1の「カメラがボスを追尾」は特にオススメです!
この機能が多くのハンターの助けになることを願います!
是非、モンスターハンターというアクションゲームの金字塔をiOSでお楽しみいただければと思います!!
【通信編】
通信プログラムを担当しました、MHP2G総プレイ時間 約2500時間の近藤です。
今回オンライン通信を対応するにあたり、Apple社から提供されているGame Centerの機能のみを用いて、自然なマッチングが実現できるよう注力致しました。
Game Centerでのマッチング方法は2種類存在します。
1つはよく使われているGame Centerの標準UIを用いたマッチング、
もう1つは全て自前で行うカスタムマッチングです。
標準UIではプレイヤー同士がマッチングするまで待ち続ける必要があるのですが、待ち続けるのはモンスターハンターらしくない!という事で、今回はカスタムマッチングを利用しました。
Game Centerでは簡易的な機能しかないため、オリジナルと同じように『集会所内でマッチングする』という元々の仕様に近いスタイルにするため、限られた条件判定やマッチングの呼び出し方法など、様々な工夫や調整を行いました。
これにより、より自然に集会所に集合できる、自然なモンスターハンターのオンラインスタイルが実現できました。
マッチングのための専用のサーバーは用意しておりませんが、
Game Centerだけでもここまで実現できる!
という事を実感していただけるかと思います。
ということで、各担当からの開発裏話はいかがでしたでしょうか。
今回は、iOS端末でも携帯ゲーム機以上のクオリティを出したい!ユーザー様から楽しんでいただけたという声を聞きたい!という熱い思いでスタッフ一同、力を尽くしました。
多くのユーザー様に楽しいひとときをご提供できれば開発者としてこれほど嬉しい事はありません。
今回の紹介で興味を持っていただけた方は、iOS端末でいつでも手軽に遊んでいただける
本格ハンティングアクション、
『MONSTER HUNTER PORTABLE 2nd G for iOS』
を、何卒よろしくお願いいたします!!
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