皆様、お久しぶりでございます。
アニメーションアーティスト三年目のキオン・M(マジデ)・カワリスギーです。
約一年九ヶ月と二十五日ぶりに舞い戻ってまいりました。
(前回記事:新人ブログデビュー⑦「モーションに興味を持ったきっかけ」)
三度の飯よりゲームかオカルト、最近はソシャゲのガチャ地獄から抜け出せなくなってきております。
気づけば2025年の夏真っ只中。
何かひんやりとするものが欲しくなる季節…。
そこで今回、「夏といえば!」というようなお話を考えてみました。
今回のテーマは「恐怖を与えるデザインや動きとは何かを考えてみた」です。
世界には様々な種類のホラー作品、
どの作品においても欠かすことのできないものがあります。
それは「恐怖を与えてくる存在」です。
では実際にそれらを作るとなった場合、
人々はどのようなものに対して恐怖を覚えるのでしょうか?
今回はこちらについてお話していこうと思います。
本題に入る前に諸注意です。
※これから語らせていただくお話は、個人的な推測や考察が多分に含まれます。
それを踏まえた上で、ご覧いただけますと幸いです。
◆恐怖を与えるデザイン
ホラー作品には、見る者に恐怖を与える「何か(キャラクター)」が必ず存在します。
そのデザインは多種多様で、国によっても変わってきます。
しかし、括りを設けてみると、大まかには以下の2種類に絞られます。
①人型:幽霊、悪魔など
<引用>
いらすとや おばけの仮装:https://www.irasutoya.com/2019/10/blog-post_251.html
いらすとや 悪魔の影:https://www.irasutoya.com/2017/06/blog-post_978.html
②異形型:妖怪、怪物、魔物など
<引用>
いらすとや ぬえ:https://www.irasutoya.com/2017/07/blog-post_64.html
いらすとや レヴィアタン:https://www.irasutoya.com/2020/03/blog-post_868.html
ではこの二種類の中で、
人間により恐怖を与えやすいのは、どちらなのでしょうか?
私自身としては、①ではないかと考えています。
なぜそう考えているかというと、
それらは我々、人間と姿が似ているからです。
実際にある言葉として、「不気味の谷現象※」というものがあります。
デザイン系の学問に知見がある方は聞いたことがあるかもしれません。
※https://ja.wikipedia.org/wiki/不気味の谷現象
簡潔に説明すると、
人を模した作品(彫刻/3Dモデル/リアル調イラストなど)のデザイン精度がある地点に到達すると、好感とは真逆の感覚が引き出されるというものです。
つまり、人ではないものが人の姿に近い姿をしていることに恐怖を感じるようになってしまうということです。
(例)
零 巫女 (零 ~濡鴉ノ巫女~より)
ドクター (リトルナイトメア2より)
<引用>
画像上 零 ~濡鴉ノ巫女~:https://www.gamecity.ne.jp/game/4722.html
画像下 リトルナイトメア2:https://n6ls.bn-ent.net/
この二体のキャラクターは、姿形は人に近いですが、
一方は怨霊でもう一方は異世界の住人です。
彼/彼女らのような、「人に近くも人ならざる者」が迫ってくる様は、
見る人の心に恐怖を与えます。
少し話が戻りますが、不気味の谷についての説明内に、
「人間と全く同じロボット / 人間に近いロボット」
という二つの対比で説明されています。
前者の「人間と全く同じロボット」は、あらゆる点において人間と同一であるため、
人はそのロボットに対し違和感を抱きにくい。
しかし、後者の「人間に近いロボット」は、人間に近けれど、ロボットとしての特徴がどこかに存在している。
つまり、「人間に近いロボット」は人間に近づくほど、非人間的特徴が目立つようになってしまうのです。
人はその部分的な特徴に対し、強い違和感を抱きます。
ここからわかることは、「人に近いがどこか人間味が欠けている」方が、
負の感情が引き出されやすいということです。
このことから、「人間味」と「欠陥」こそが恐怖を与えるデザインの一つと言えるのではないでしょうか?
◆恐怖を与える動き
動き単体だけで恐怖を引き出すことはかなり難しいと思います。
そのためここでは、前述した「人間味」や「欠陥」といった要素を持つ人型デザインに、
動きを組み込むことを前提として話を進めていきます。
一体どのような動きを取らせることが、より恐怖を与える要因となりえるでしょうか?
私なりの答えとしては「不規則性」なのではないかと考えます。
例を挙げるとするなら、昆虫です。
床 / 壁 / 天井、果てには空中など、地形を気にせず自由に動き回る虫。
多くの方がその姿に恐怖感や嫌悪感を抱いたことでしょう。
実際のところ、人間は虫に対して本能的な部分で不快感や恐怖を引き起こすことがあるらしく、
その原因は、見た目や不規則な動きからくるそうです。
<引用>
(いらすとや いろいろな虫のマーク:https://www.irasutoya.com/2016/05/blog-post_79.html)
この「不規則な動きをするものを恐れる」というのは、昆虫だけに限った話ではありません。
人間でも同様のことが言えます。
自分が実際に感じたもので挙げると、
テレビでやっていた関節可動域を活かしたパフォーマンスです。
パフォーマーの方がその可動域を活かして不規則な動きを披露した時に、
会場から上がったのは歓声ではなく悲鳴に近い声でした。
見ていた自分も、「凄い!」と思いつつも、人間が不規則な形で動いている様子には、ぬぐい切れない恐怖感がありました。
(※決してそのパフォーマンスを否定しているわけではございません)
少し動きの話からは逸れてしまいますが、
今回このテーマについてネットや記事などを見ていた時にふと思ったことがあります。
「恐怖の原点とは何だろう?」
あれが怖い、これが怖い、その原因を詰めた先にある「根本的な原因」。
私はこれについて調べていく中で、ある一つの仮説を導き出すことができました。
それは、恐怖を感じる根本的な要因は、その物体/事象が「未知・理解不能」だからなのではないかと。
幽霊や妖怪、神や悪魔、自然現象や災害など、古来より人間には恐れを抱く対象がありました。
それらに共通しているのが、「何なのかわからない」「どうなるか分からない」事象。
つまり、人間の知識や理解、予想を超えた事象であると認識することから始まっていました。
このことから、過去の歴史や自分の持つ恐怖の根源を追っていくと「未知・理解不能」に行きつくのではないかと考えました。
ここで話を戻します。
どういった動きが恐怖を生むのかという問いに対して私は、
「不規則性」と答えました。
この部分も深堀りしていくと、同じく「未知」に辿り着きます。
先ほど挙げたパフォーマンスを例にするなら、
・「関節を使っているのは分かるが、なぜここまで動くのか理解できない」
・「どうしてこのような態勢がとれるのか分からない」
「なぜ/どうやって」、そういった理解できないことへの疑問が恐怖に繋がるのではないかなと思います。
このことから、
動きで人に恐怖を与えるために必要な要因は「不規則性」なのではないでしょうか?
◆まとめ
・人間が恐怖を感じるデザインには「人間味」と「欠陥」が必要
・人間が恐怖を感じる動きには「不規則性」が必要。
・人間のデザインに近づくほど非人間的特徴が強調され、違和感や恐怖感が増す。
・人間は「理解ができない」「分からない」ものに対して恐怖や不快感を覚える。
◆最後に
長文となってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。
今回は「恐怖を与えるデザインや動きとは何かを考えてみた」ということで、
自分なりに考えた説をお話しさせていただきました。
私自身、怪談や心霊写真などのオカルトに興味がありまして、
夏やオカルトに関連しつつ、今後に活かせるようなブログが書きたいなと思い、
今回のテーマを選択しました。
調べていく中で、恐怖に関する人間の心理についてを考えさせられまして、
ものすごく奥が深かったですね。
考察もできたので楽しかったです。
せっかく得られた知識ですから、今後もしホラーゲームの制作などに携わることができた際に、
活かすことができればと考えています。
夏場はホラーシーズン。
皆様も恐怖に身を浸して涼んでみるのはいかがでしょうか?
私はビビりなので、足先だけ浸かろうと思います。
それではまた。