こんにちは!大阪デザイナーのハマグチです。
毎度のことなのですが、今回もイラストを用意しました。
前回の記事では、キャラデザと配色の作業工程を載せましたので、
今回は色塗りの作業工程を中心に記録してきました。
(例によってすごく長いです。ご容赦下さい…)
Ⅰ.ラフ~配色
要素としては「お正月」「巫女」「猫耳っぽい羽根耳」「神社」がベースです。
配色については、見せたい所をはっきりさせるため、
主役になる女の子は彩度高めの暖色系に、
脇役になる背景は彩度低めの寒色系にしておきます。
Ⅱ.光の方向決め・線の色替え
背景のある絵なので、事前に光の当たる範囲を決めます。
「光が当たっている=明度の高い所」には視線が集まるので、
主役であるキャラの上半身に当たるように、光の方向を設定します。
以降の工程にも言えることですが、
デフォルメの効いた絵なので、正確さ・現実感というよりは
思い切って「どう見せたいか」を重視して塗っていきます。
ついでに、背景の線に「色トレス」を行っておきます。
(※色トレス…線を絵になじませるため、線の色を塗りの色に近い色に塗り替えること)
こうすることで、背景の主張が弱くなり、キャラが見えやすくなります。
Ⅲ.光・カゲ
先程設定した光の範囲に基いて、光とカゲを入れていきます。
・光が強く当たるところはコントラストが強い(例:葉っぱの光)
・つるつるしたものはハイライトを明るく(例:くつ・髪)
・落ち影は物体そのものの陰より濃い色にする(例:上半身の着物)
…などなど、色々気をつけていることはありますが、仕上がりに一番影響が大きいと思われるのは
・光は黄色寄りの色に、カゲは青紫寄りに塗ること
です。
これは、「ナチュラルハーモニー」と呼ばれている配色の技法で、
明度の高い方の色を黄色寄りに、低い方を青紫寄りにすると、
自然の見え方に近くなる、というものです。
単色相で塗ったものと見比べると、自然な見えになっていますし、
色味が増えることで華やかにもなるので、ほぼ全てこの配色で塗っています。
ちなみにですが、ナチュラルハーモニーでなければ調和しない…というわけではなく
ナチュラルハーモニーの反対(明るい方を青く、暗い方を黄色く)の配色にした
「コンプレックスハーモニー」というものも存在します。
失敗すると気持ち悪くなるので、難しい配色ですが、
うまくやれば一風変わった雰囲気になり、面白い絵になります!
参考程度に、全体を無理やりコンプレックスハーモニー気味に調整したものです。
自然物の多い絵では使いづらいですね…。
Ⅳ.小細工
基本の塗りが終わったので、細かい調整をします。
①囲い
色が増えたために、キャラと背景の区別が付きづらくなってきたので
手前にあるもの(葉っぱと女の子)の周りを白い境界線で囲います。
漫画で使われる「白抜き」という技法と同じような作業です。
物と物の前後関係を表現するのにも有効です。
②フチ
物と物の境界線に、コントラストの強い光を入れます。
これは光源がどうこうというより、
陰になったり色が増えて沈んでしまった部分に、パキっとした明るい色を入れて
立体感や存在感を強制的に復活させるための小細工ですね…
③描き込み
全体像が見えてきたので、情報量が少なく寂しいところに
細かい描き込みを入れて調整します。
④削り
ゴチャゴチャしすぎた所や、雑すぎた所を修正します。
これで完成です!
どうだったでしょうか?
あくまで私の作業工程紹介なので、何が正しいとは言えないのですが、
どこかしらお役に立つ情報があれば幸いです。
それでは!