お久しぶりです。大阪プログラマーのカズキです。
vc++のstlがモジュールとして試験的に提供されたので今回はvc++のモジュールを紹介しようと思います。
vc++のモジュール機能そのものはVisual Studio2015 Update1で試験的に追加された機能です。
vc++のモジュール機能の利点はコンパイルの高速化などがあげられるそうです。
とりあえずそのモジュール機能を使ってみようと思います。
まずVisual Studioインストーラから「標準ライブラリのモジュール(試験段階)」を有効にしてインストールします。
次にVisual Studioを立ち上げて「VisualC++」の「 Windowsコンソールアプリケーション」プロジェクトを作成します。
プロジェクトを作成したらプロジェクトのプロパティを開き「C/C++」の「言語」 の
「C++言語標準」を[ISO C++標準の最終草案(/std:c++latest)]に、
「C++モジュールを有効にする(試験的)」を[はい(/experimental:module)]に変更します。
これでモジュールを使用する環境が整いました!簡単ですね!
それでは実際にstlをインクルードを書かずに使用してみます。
import std.core; int main() { std::string str = "vc++ module test"; std::cout << str << std::endl; }
ばっちり動いていますね
これだけだと物足りないのでモジュールを自作してみます。
プロジェクトに[Sample.ixx]という名前のファイルを追加します。
※クラスなどをexportするファイルの拡張子は[.ixx]にする必要があります。
そして追加したファイルのプロパティを開き「全般」の「項目の種類」を[C/C++コンパイラ]に変更します。
これで自作モジュールを作成する準備が整ったので簡単に公開するクラスや関数を書いていきます。
// モジュール定義 module sample; // 変数を公開 export float TestValue = 123.4f; // 関数を公開 export int AddFunction(int x, int y) { return x + y; } namespace test { // 構造体やクラスを公開 export { struct Point { int x; int y; }; template class TestClass { public: Type value; }; } }
コードが汚いですがサンプルということで
簡単に解説すると[module]でモジュールの定義をしています。
そして[export]で公開する関数などを宣言しています。
それでは作ったモジュールを使用してみたいと思います。
以下のようにして使用します。
import std.core; import sample; int main() { std::cout << "vc++ module test" << std::endl; std::cout << "TestValue:" << TestValue << std::endl; std::cout << "AddFunction:" << AddFunction(1, 2) << std::endl; test::Point point; point.x = 234; point.y = 567; std::cout << "point.x:" << point.x << std::endl; std::cout << "point.y:" << point.y << std::endl; test::TestClass testClass; testClass.value = 890; std::cout << "testClass.value:" << testClass.value << std::endl; }
実行結果は以下の通りです。
ちゃんと動いていますね
最後にモジュールをまとめるということをやってみようと思います。
最初に作ったモジュールと同じように[.ixx]ファイルを作成して以下のように書きます。
module sample.sub; namespace test { namespace sub { // 関数を公開 export int SubAddFunction(int x, int y) { return x + y; } }}
そして最初に作ったモジュールが親となるように[Sample.ixx]に以下のように書きます。
// モジュール定義 module sample; // sample.subモジュールを親モジュールにまとめることができます export import sample.sub; // 変数を公開 export float TestValue = 123.4f; // 関数を公開 export int AddFunction(int x, int y) { return x + y; } -----以下略----- }
[export import]で[sample]モジュールに[sample.sub]モジュールをまとめています。
実際に使用するには以下のように書くことができます。
import std.core; import sample; int main() { std::cout << "SubAddFunction:" << test::sub::SubAddFunction(3, 4) << std::endl; }
実行結果は以下の通りです。
正常に動作しているのが確認できますね!
モジュールを使用することでIncludeから解放されかなり書きやすくなったのではないでしょうか。
現在(Visual Studio2017 ver15.5.1)はまだ試験的な提供となっており
IntelliSenseなど効かないといったこともありますが簡単に体験できるので触ってみてはどうでしょうか?
参考資料