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ヘキサブログ
いいモノづくり道
おにぎりブログ5回目【まじで時間がなかったんだ。の巻】
どうも、エンバイロメントアーティスト(背景マン)のおにぎりです!!
そういえば過去に【壮大な街を作ろう】としていたような気がします。バックナンバーは以下。
すがすがしいほど堕落の一途をたどっております。
タイトルの言い訳がましさにも磨きがかかってますよね!!
が、もはやみんな過去の記事など忘れ去ってそうなこのチャンスを利用して、今回も気にせずスルーします。
なぜならば今を生きる私には、今まさに伝えたい大事な話があるからです。
それは何か。
そう、それはディティールの話です。
ディティールとは何か。
まずはwikiに聞いてみましょう。
wiki「ディティール:全体に対する細かい部分。全体から見ると末梢的な部分。そう、細部のことや。」
なんとなくディティールについて知れた気がします。
世界は大体wikiに載ってることで乗り切れます。 あなたは世間一般的にはディティールについて知ったことになります。
しかしです。
背景マン的にはいかがでしょう。
まずこの絵をご覧ください。
絵の完成度は無視してください。まじのとっかんです。とっかん。
例えばあなたがこの絵で以下のようなシナリオを表現したいとします。
「20xx年の近未来、しがない田舎の町工場。 なんじゃかんじゃありその町工場を襲うテロの襲来を知らされた主人公は町工場に危機を伝えるが相手にされない。 だが何とかして内部に侵入し敵が仕掛けた爆弾を見つけ出さねばならない。 表からは内部に入れず困り果てていたが、裏口を発見。あそこからならなんとか侵入できそうだが・・」
前置きですが、背景マンを希望する若人はこういったバックグラウンドをこしらえるのが大好きな方が多くいます。
ポートフォリオにもこういう文言がよく添えられているわけです。
非常に大事です、想像力。
これがなければ始まらないです。
ですが上司が言うわけです。
「なんか伝わらない。ディティールが足りない。」
このすごい色んな解釈ができる「なんか」ですが、実はこの要望はすごく多いです。
上司も人間。
なんか微妙。なんかピンとこない。
このような語彙力ゼロの「なんか要望」が多く飛んでくるわけです。
ムカちん!!ならばディティールを足してやろう!!
この場合、あなたはどのようにディティールを解釈し、どのようなディティールを足しますか? 伝わらない「ディティールなるもの」をどのように解釈しますか?
まずは以下のアプローチをします。
この場合、きっと上司のフィードバック対応にこのような意気込みで答えたはずです。
「いろんなとこに物や線を足し、ディティールアップしてやったぞ、どや」
ディティールとは、細かい情報量である。
情報量とは、簡素な絵の空白を埋める細部の事だと解釈したアプローチがこれに当たります。
そこかしこに以下の病気が見られます。
線が多けりゃいいやろ病:とにかく無意味な線を足して空白を埋めるやまい
(おにぎりが新人の頃よく指摘され続けたやまい)
パイプ足しとけ病 :とにかく裏道っぽい壁にパイプを這わせるやまい
(おにぎりが新人の頃よく指摘され続けたやまい)
上司「なんかいろいろ詰まった気がするけど、なんかピンとこない」
敗北。
ディティールは、この場合情報量とはノットイコールのようです。
こういう「わるくないけどなんか足りない」と戦うときは、目指すべき道がわからず、効果の薄い修正をちみちみ足すような不毛な時間が流れたりするのです。
次は全然違うアプローチを追加してみます。
こまごました情報を足すことより、思い切ったシルエットの変更を試みてみます。
その結果が以下の絵。
ここでおこなったアプローチは、簡素な絵全体に思いっきり左側のビルの影を入れて、絵全体の重心みたいなもんを変えるっぽいことをする。
それにより表口ではない感じが増し、扉の開錠キーっぽい部分の発光と、扉の奥にある部屋の明かりが目立つ。
目立ったことにより、行くべき道に視線を誘導するっぽい事が行われる、ただそれだけです。
それ以外は何もしてません。
上司「なんかピンときたかも」
勝利!!!
ここで増やすべき情報量とは、この場合は細部の「絵的な情報」でなく、「演出的情報」に当たったようです。
一枚の絵としては、最初の絵でも完成度を高めたと言えるでしょう。
もしかしたら足されたパイプやなんやで裏口感や多少の未来感が出たかもしれませんし、それもまた重要な場合もあるかもしれません。
しかしながら今回上司が求めていたのは、
「裏口を発見。あそこからならなんとか侵入できそうだが・・」
その物語の一部となる語り部としての説得力のある絵。
絵単体、デザイン性、それだけで主張するものではなく、 物語をより分かりやすく誘導し、ノイズにならず、想像を喚起する材料だったわけです。
ここでアプローチの方向はわかったので、あとは心置きなく己を開放して己ディティールで仕上げていってください。
踏まえるべきところを大事にしたままで。
このような局面はいたるところで遭遇します。
おにぎりが過去にやった映像の案件で、宇宙を戦艦が飛ぶシーンがありました。
時間がない中で、もっと絵のクオリティを上げなければならない。
単純に絵を情報で埋めればリッチ風になるかもしれないが、新規でアセットを作る時間がない。
この時、戦艦の表面に細かなパネルラインや、ウェザリングなどのディティール(情報量)を足していくことよりも、 戦艦のダイナミックな形状修正で、シルエットにより情報を持たせた方が効果が高かったことがありました。
この場合、「シルエット」が「細かな情報」よりも人に与える影響(インパクト)が大きかった、という良い例となりました。
案件や作品によっては、これに限りません。
今求められているものを理解して、それに沿ったアピールで返すのもまた能力の一つです。
全力を出して見せるところ。
情報を抜くことで見せたいところに注目させるところ。
何を求められ、どれが有効かにいち早く気づき、アプローチするのもまた背景マンのお仕事です。
なんかピンとこないマン上司を攻略すれば、かけなくていいところに時間をかけず、頑張りたいところに全力を尽くせます。
無駄な方向へ闇雲な試行錯誤をする不毛な時間を省き、より有意義にクオリティアップに時間をかけられます。
そんなこんなで今回も会社のブログ感をやんわりまとった気がするので、茶を濁して逃走します。
わたしがもっとブログに全力を尽くせるよう、背景マンを熱烈歓迎!
また次回!
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