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HEXA BLOG

いいモノづくり道

HEXA BLOGいいモノづくり道2021.6.24

おにぎりブログ9回目【相撲観戦しながら散歩せよ】の巻

ごあいさつ
どうも、1年半ぶりです!
エンバイロメントアーティスト(背景マン)のおにぎりです。

今まで、本ブログ内で計画を立てずに勢いだけでなんとなくスタートダッシュした企画のあれこれは頓挫して久しいですが、2021年現在のおにぎりは立派な大人になりました!!
あの頃の若さを受け入れ、出来ないことはできないって言って堂々とゴロゴロしていく大人のスタイルでやらせてもろてます。
よろしくお願いいたします。

背景においてなんとなくはご法度!
ところで皆さん。
こんなご時世なのでなかなか難しいとは思いますが

しっかり散歩してますか?

散歩するときは、周囲を観察しながら歩いてますか?
気になったら近くで構造を見たり、実際に手で触ってみたりしてますか?

皆さんがアセットを制作する際、リファレンスをインターネットで探すことが多いと思います。

実際に生で見ることができないものは仕方ないですが、
なるべくインターネットで済まさず肉眼で見て、手に取れるものは触ってみた方が良いです。

私たちでさえ、モデリングする際には、
脳内に刷り込まれた勝手なイメージでモチーフを作ってしまうことがままあります。
見慣れた身近なものだと、
なおのこと思い込みで作ってしまったりするものです。

掃除機 / テレビ / 雑居ビル / 電車・・
それらを象徴するシルエットがそれっぽかったら
それは掃除機 / テレビ / 雑居ビル / 電車として認識はしてもらえます。

しかし、背景マンたるもの、それっぽいはNGです。
禁止ワードです。

同様に、
なんとなく      雰囲気で
も禁止ワードです。よろしくお願いします。

 

なんとなく物を作っていくと、
それ単体だとまぁ許容できる違和感がどんどん積み重なり、
最終的に完成したものに大きなノイズをもたらすことがあります。

例えばこちらの棚
何か違和感がありませんか?
※説明用にあつらえたものなので、是非ともクオリティは置いといてください

この棚、
学生さんのポートフォリオで本当によく見る悪しき事例が詰まってます。

おにぎりがどうしてもまずクリアしておいてほしい
背景のことわりを2点あげるので、
その内容を旅した後に、再度この棚で答え合わせをしましょう。


背景のことわり① ”勝ち負け” を意識せよ
建築物の多くは、複数の素材を組み合わせて成り立っています。
組み合わせの際、接合部で素材同士が交わる際、”ある素材を優先させること”を勝ち負けといいます。
優先させる素材が勝ち、勝ち素材の手前で止まる素材を負けといいます。

いくつか例を見ていきます。

⚔ 柱/梁の -勝ち負け- 
接合部で柱が優先され、梁が柱の手前で止まっています。
この場合は 柱の勝ち>梁の負け となります。

⚔ 柱/梁の -預かり-
接合部がななめにカットされ、仲良く領域を分かち合っています。
こういった接合部を留めと言うそうですが、ヘキサでは今この瞬間から預かりと呼びます。
勝ち負けを決められへんし、決めたくないやん、という平和主義のあなたは使ってください。

 

📷(おまけ)お散歩ショット
勝ち負けで成り立っている箇所がわかるでしょうか?

 

 

⚔ 外壁-出隅(ですみ)部分の勝ち負け
建物の外壁を上面図で見た際に、
外周に当たる凸角部分を出隅、内周部分の凹角を入隅といいます。

当然、出隅界隈にも勝ち負けはあります。
出隅界隈でよく見かける、ビルの外壁に貼られたタイルたちにフィーチャーしてみます。

⚔ 側面両側Bのタイルが勝ち、中央のAのタイルが負けです 

⚔ AのタイルとBのタイルが交互に勝っています 

⚔ 勿論、まんまと預かっているタイルもいます 

弊社、なんばパークスビル近くの
なんばスカイオビルの外壁タイルは預かり散らかしているので、
弊社にお越しの際は是非観戦しながらどうぞ。

 

余談ですが
出隅で素材の端がカットされ、勝負を行わず小口が見えた状態の場合、
出隅に何かしらの部材を入れて美しく収めることもあります。(モールディング)

※画像オレンジ部分

トイレの間仕切りなどで、
よくこうしてアルミ材をかぶせられて勝負を有耶無耶にされている現象を目撃できます。

トイレだからと言って油断は禁物です、試合はそこらじゅうで起きています。
余談:建築において鉄筋が交錯する場合、上になる鉄筋が 勝ち だそうです

これらは建築物だけではなく、
ある種の素材同士で設計され、複数パーツで成り立つ人工物すべてに同じことが言えます。

部屋の中を見渡してみてください。
クロゼット/ベランダ/ふろ場のドアなどのフレーム部分。チェスト/ベッド/テーブル。
すべてのものが相撲をとって、勝ち負けで成り立っています。
以下画像の家具たちのパーツ同士、皆さんにも勝敗がわかりますか??

接合部に関しては無限にスタイルがあるのでここでは割愛します。

ここでおにぎりが何を言いたいかというと
何かしら作る際、背景マンたるもの必ず勝敗を確認せぇよ、という事です。

この部分が配慮できている説得力のあるアセットであれば、おにぎりは心安らかになれるのです。

 

背景のことわり② 素材の持つ模様の流れを意識せよ
素材同士の勝ち負けを意識したら、おのずと
素材の持つ模様の向きを気にかけるようになります。

昨今はリアルな素材が手軽に作成でき、
なんとなくペペペっと貼りつけたらそれっぽくなってしまうので

テンションが上がり、いいものできたぞ!!というような気持ちになってしまうことがあります。

学生さんのポートフォリオでよく見かけるパターンとして、
縦横斜めに組まれた木材でできた窓枠などが、

正面投影で貼ったような木目の流れを持っていたりします。

そういうぺぺぺっに出くわすと、途端におにぎりのこころはざわざわし始めます。

物が作られる際、素材は構造上必要な向きで組まれるはずです。
もっというと、素材自体の強度を考えた向きで使用されるはずです。

複雑に組まれた物体が持つ模様が、
すべて同じ方向に流れているなんてことは言語道断横断歩道です。

Ⓒ月野うさぎ

特にわかりやすいのが木材。
以下写真の、ドアとそのフレームは
どういう風に木材が切り出され、どう組まれたかが想像/理解/納得できますよね。

 

金属のヘアラインなんかも重要です。
金属の加工の仕方や、組み方によって流れを持つ方向が決まってくると思います。
身近なものだと、電車の中には多くの金属素材があり、
その厚みや構造によって、様々なヘアラインの流れが楽しめると思います。
ぜひ意識して観察してみてください。

次なるぺぺぺ現象にウェザリングのぺぺぺがあり、
ここでは割愛しますが、それも高頻度遭遇・発作案件です・・

ここでおにぎりが何を言いたいかというと
何かしら作る際、背景マンたるもの
設計を意識して、素材の方向を考えてUVを展開せぇよ、という事です。

 

あとがき
違和感にならない範囲であれば、
強度を気にせず、見た目の美しさを優先しても誰にも怒られない点は、
CG世界のいいところで、だいご味でもあります!

でも、嘘は必ず説得力を前提に行ってほしいのです。

嘘だらけの中でつく嘘は、ただただ品質が低いだけのものになってしまいます。

しっかりと説得力を持った土台の上でついた嘘は、
エッセンスとして際立ち、ひときわ効果を発揮してくれることでしょう。

手軽にモデリングができ、イイ感じのテクスチャが簡単に作れ、リアルタイムでレンダリングできるこんな時代だからこそ
背景アーティストだからできる配慮やこだわりを大事にしてほしいのです。

行ったこだわりの正解不正解はあれど、
なぜそうしたの?と聞かれたときに
しっかりと考えをもっていて、自分なりに理由が言える、ということが最も大切です!

日ごろからものを観察して、
どういう素材で、どう作られてるかを考えるようにする癖をつけておけば、
脳の中のライブラリが潤い、いざ物を作る時に皆さんの助けになると思います。

 

°˖✧散歩の中に、発見は山ほど詰まっています✧˖°

 

最後に、これまでの話をふまえて
最初の棚で相撲の審判をしてみましょう。
どこを直すべきか、分かりますよね??


 

 

 

ところで今回、
まったく相撲に詳しくないのに雰囲気でなんとなく相撲に例えてしまったんですが

相撲が好きな方に怒られるんですかね??
覚悟しておきます。


「ちょっとキミ、この勝負、おさまりが悪いから勝ち負けを明確にしてほしいんだけど!」

と おにぎりが雑にお願いしても
「おにぎり先輩、この場合は美しさを重視して勝負預かりにしたいのですがいかがでしょう」
などと打ち返してくる君の入社をこころよりお待ちしています。

 

ではまた次回に🍙


🔗PICUP LINK

なんかクオリティでないな・・の場合、
大きなところから細部にアプローチしようね、という印象を左右する情報の効果量の話

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