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いいモノづくり道

HEXA BLOGいいモノづくり道2019.4.15

似て非なるもの

深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをミッツです🍷

今回のブログ記事では、最近よくプレイをしているNdemic Creationsの新作、
今年の1月頃に日本語対応のアップデートもおこなわれた
新機軸の政治&軍事シミュレーションゲームをご紹介

『Rebel Inc. -反逆の株式会社-』 ※以下『Rebel』と略記

とりわけ、同社がすでにリリースして、伝染病を蔓延させて人類を滅ぼすという
キメているインパクトを持った重厚なテーマでも話題性が高かった以下の作品

『Plague Inc. -伝染病株式会社-』 ※以下『Plague』と略記

とも比較することによって、両者のゲームデザインの「類似点」「相違点」という
視点に絞って、ゲームデザインの考えを記事にしていきたいと思います。
(『Plague』はゲームモードによって基本メカニズムが大きく変わることがありますので、
ここでは基本の『バクテリア』モードを参照します)

 

📌両者の類似点
『Rebel』『Plague』にはメカニズムもUIも、いくつかの類似した部分があります。
その類似性はもう「シリーズ続編」と言ってよいレベルです。
これは Ndemic Creations にとって、このシミュレーションモデルを応用して、色んな表現やら
体験やらを試みるといったビジョンで、あえてそういう類似形を残したといったものでしょう。
(開発が安上がりとかそういう理由が中心ではないでしょう。正直、こういう縛りを効かせて
面白いゲームを構築するというのは極めてテクニカルで、リスクも高い試みですので…)
 ・初期地点を指定し、時間経過でテリトリー(面積)を拡張していく
 ・時間経過でテリトリーから獲得していく成長点
 ・3部門に分けられた成長ツリー
 ・成長ツリー解禁で3つのパラメータを制御
 ・上記パラメータと隠しパラメータで拡張速度、獲得する成長点、
  エンド条件抑止、クリア条件促進を制御


※成長ツリーのUIの使い勝手はほぼ同じ。伝染病作りで培った手腕を政治家として振るいましょう

 

📌類似の中の違い
逆に、そうしたメカニズム上の類似性を備えながら、その類似している部分随所随所には
些細ながら大きな差異がいくつもあります。
挙げていけばキリないですが、私自身が『Rebel』を始めて1回プレイした時に「なるほど」と
思った点をいくつか列挙してみようと思います。


💡最初から成長点がある

 前作『Plague』では、基本的に初期の成長点(DNAポイント)は0点から始まります。
 一方で『Rebel』は初期から成長点(資金)をある程度持った状態から始まります。
 序盤のプレイ開始時の手持ち無沙汰の解消や、戦略方針を初期から設計できるようにすることで
 序盤から状況を多様化させていくという点でも、有効に働いているように思われました。

※政治家にとって資金こそが実弾。でも44ドルってお安くないですかねぇ?


💡エンド条件のゲージが一方向的な進行でない

 前作『Plague』では、人類が伝染病の治療薬を完成させゲーム終了となるエンド条件のゲージが
 存在し、この進行は基本的に一方通行(いくつか遅滞させたり、定量減らす手法はありますが)
 の構造になっていました。
 一方で『Rebel』にも、プレイヤーへの信用度というゲージがあって、これが0になると失脚して
 ゲーム終了になるわけですが、このゲージはゲーム内でけっこう頻繁に上昇と下降が発生して、
 その増減のバランス制御を戦略に組み込めるようになっています。
 『Plague』でのゲーム収束性という治療薬ゲージの位置づけとは、明確に役割が違いました。


※右に信用度ゲージ。反乱軍と和平を結んで戦争を終結させても、ひどく信用度ゲージは落下するのが悲哀


💡3大パラメータが増減

 前作『Plague』では、感染力、危険度、致死率の3つのパラメータで伝染病の性質を表現して
 おり、戦略上はまず感染力、最後に致死率の成長を図る、他のパラメータはタイミングになる
 まで増加させないよう注意を払うという計画が骨子とされていました。
 ところが『Rebel』では、支援、インフレ、汚職と3つのパラメータがありますが、支援だけが
 ポジティブパラメータで、インフレと汚職は上昇を避ける必要があるネガティブなパラメータと
 位置づけられ、さらにインフレも汚職も、成長ツリーを解禁すると一気に増加して、時間経過と
 ともに徐々に減っていくという仕様になっています。
 これにより、『Rebel』での成長ツリー解禁は、時間をかけて少しずつやったほうがいいという
 パラメータ管理上の優位と、即座に解禁しないといけないタイミング系の状況変化とが競合して
 後を考えた計画性、状況変化への臨機応変さの両方をプレイヤーに求めるようになります。


※政策を打つほど高まるインフレと汚職。良かれと思う政策も常にリスクが生まれる点がシニカルな世界観

 

📌ビジョンの違い
ここまで『Plague』と『Rebel』の類似と差異について、ピンポイントに触れてきました。
これらを通じて私が『Rebel』から感じられたものとは、両者のゲームコンセプトの違い、特に
何をプレイヤーに体験させるかというの差です‼


💡要素の類似

 どちらの作品にも共通するのが「ミクロなシミュレーションモデルを、マクロなアプローチで
間接的にコントロールしていく」というゲームメカニズムと構成する主要素です。
制御すべき要素(バクテリアの広がり方、国民への政策)に対して直接ではないことによって
もどかしさを軸に、それを成し遂げた時の充実感は両タイトルで共通する楽しさでしょう🧡


💡体験の差異

 前作『Plague』は「伝染病の性能は上昇方向にしか成長しない」や「治療薬の開発進行は
一度でも始まれば停止しない」など、様々な要素についてゲームの収束に向けて一方向的
統一され、分水嶺を越えれば成功か失敗へと直結、という体験に整えてます。
一方で『Rebel』は信用度ゲージや汚職など、様々なパラメーターが二方向的に増減をして
そのバランス制御とコストとのジレンマに常に悩み続ける体験になっていました🧡

 

📌総括
このように、一見すると似ているゲーム環境や要素を並べていても、その中のメカニズムや
バランス面で趣向を凝らすと、まったく違うゲーム体験に変化します。
これはシミュレーションゲームだけでなく、シューティングゲームや対戦アクションゲーム
など様々なゲームシステムで「なぜそのシステムやパラメータはそんな駆動をしているのか」
などの設計をする上でも重要な考え方だと思っています‼

要素や環境が似ているな、と思うゲームがあった時、その2つの「似て非なるもの」を中心に
抽出して比較すると、各作品がどうしてそんな仕様にしたのかを、
単品を分析するよりさらに深く洞察できるので、興味のある方はどうぞお試しあれ。

 

 ©2017 – 2018 Ndemic Creations
 ※PLAGUE INC. REBEL INC.は、Ndemic Creationsの商標または登録商標です。

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