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続・書体の世界を覗いてみよう!
ヘキサブログ読者の皆様、ご無沙汰しております。
大阪スタジオ・背景作れる系テクニカルアーティストになりつつあるタカガハラです。
ドライブ、してますか?
私はと言えば前回の記事で述べたドライブがすこぶる順調で、先日は納車後はじめてのオイル交換も済ませました。ますます「迷ったら買う、買ってから考える」という格言の素晴らしさに思いを致す次第であります。
気持ちのゆとりも出てきたところで、個人的にはそろそろ「ヘキサ」にゆかりのある趣味を始めなければと決意を新たにするところですが、困ったことに愛車のV6エンジン(※)を讃えることくらいしか心当たりがありません。
※愛車のV6エンジン、日産VQ35DEです。6シリンダーなのでこれも「ヘキサ」なのです。
しばらくは引き続き「ドライブ」を通して「ヘキサ」に想いを馳せてまいります。
今回もここまで読み飛ばしていただけましたでしょうか?
それではよろしくお願いいたします。
今回の「書体」について
この頃は新卒採用のお仕事をさせていただくこともあるのですが、アーティスト志望として応募してくださった皆さんのポートフォリオを拝見していると様々な試行錯誤の痕跡が垣間見えることがあります。そのなかでも説明文や題字、あるいは3DCGでのテクスチャのレタリングに至るまで、作品の雰囲気やご自身の個性にマッチしたタイポグラフィにトライして苦労されている方も多いようにお見受けします。
そんなポートフォリオづくりを始めとした書体選びの参考になればと思い、今回はタイポグラフィの基本である文字のカタチ、「書体」についてお話しします。
コンピューターで表示する文字には「フォント(font)」という呼び方もありますが、今回はデジタル要素のない純粋な文字のデザインを「書体」と呼ぶことにします。
※これはタカガハラの新卒入社時のポートフォリオです。あくまで一例ですので決して「正解」ではありません。(いま見ると直したいところがたくさんあります!)
セリフとサンセリフ
書体はさまざまな物差しで分類することができますが、「セリフ(Serif)体」と「サンセリフ(Sans-Serif)体」という2種類に分類する方法は定番中の定番です。
“Serif”は書体の端にある小さな飾りを指す言葉で、フランス語でこれを否定する意味が”Sans-Serif”となります。セリフのある書体がセリフ体、ない書体がサンセリフ体です。和文(日本語)書体では慣例的に前者を「明朝体」、後者を「ゴシック体」とも呼びます。このほか「ローマン体」「グロテスク体」といった呼び方をするデザイナーさんもいらっしゃいます。
ウェイトとファミリー
定番のフォントは、同じフォントでも線の太さなどによってバリエーションが用意されており、これを「ウェイト」と呼びます。複数のウェイトは総称して「ファミリー」と呼びます。
「R(Regular、 レギュラー)」や「M(Medium、メジュームまたはミディアム)」がそのフォントの標準的なウェイトと考えられ、これよりも線が細いウェイトとして「L(Light、ライト)」、線が太くなるに連れて「B(Bold、ボールド)」「H(Heavy、ヘビー)」などへとウェイト名が変化します。
ウェイトを更に細かく分類するため、名前の先頭に「D(Demi、デミ)」または「E(Extra、エクストラ)」と接頭語が付く場合があります。Demiはフランス語で「半分の」「部分的に」という意味があり、Extraは「割増の」「余分に」という意味です。例として「ExtraBold」は「Bold」 よりも太く、「DemiBold」は「Bold」よりも細いウェイトです。書体によってはExtraの更に上位となる「U(Ultra、ウルトラ)」が用意されることもあります。
縦横比や斜めのバリエーション
縦横比についてですが、基準となる比率よりも横方向に圧縮した形状を「Condensed(コンデンス)」と言い、反対に横方向に拡張した形状を「Extended(エクステンド)」などと言います。それぞれが縦に長かったり横に平べったく見えることから和文書体では「長体」「平体」と呼ぶこともあります。
上の図は、Gill Sans MT Condensedと、Gill Sans MT Regularを横に縮小して比率を近づけたものの比較です。こうしてみると、はじめからCondensedとしてデザインされた書体はそのためにプロポーションからディティールに至るまで再設計されているのがおわかりかと思います。
次に斜めに関係するバリエーションをご紹介します。いわゆる「斜体」といえば「Italic(イタリック)」というものが一般的ですが、そのほかにも「Oblique(オブリーク)」というものもあり、それぞれ明確な違いがあります。「Italic」は斜体として専用に設計された書体で、基準となった書体と形状が差別化されていることがあります。一方の「Oblique」は基準となった書体をそのまま斜めに変形した斜体です。見比べると明らかに別物であることがわかります。
書体の持つ印象
ここからは書体の違いから表れる印象の違いについてご紹介します。
まず、冒頭のセリフ体とサンセリフ体ではお気づきのように見た目の印象が大きく異なります。
セリフ体は飾りが多く線の太さが変化に富みます。このことから「堅実」「信頼感」など、落ち着いた印象を与えると書体として扱われることが多いようです。サンセリフ体は飾りがほとんど、あるいは全くなく、線の太さが均一です。こちらは「カジュアル」「元気」など、親しみやすい印象を与える書体として扱われることが多いようです。
ウェイトによっても印象が大きく左右されます。線の細いウェイトは「女性的」「繊細」といった印象を与え、線の太いウェイトは「男性的」「力強い」という印象を与えるとされています。
これらを組み合わせると、同じ文章やキャッチコピーでも受ける印象がガラリと変化することがお分かり頂けるのではないでしょうか。
書体とゲーム開発
街の広告、道路や駅の案内表示、スマホの画面、机に溜まった書類……こうした日常生活の中で書体を見かけない日はまずあり得ないほど、私たちは思いのほか書体に依存して生活しています。
ゲームもまた書体とは切っても切れないものです。ゲームで見かける文字と言えばユーザーインターフェースやタイトルロゴなどが思い当たりますが、そのほかにもキャラクターの装備や背景の看板などにも文字は書かれています。こうした文字をどの書体であらわすのか、その選択次第でキャラクターや背景、ひいては画面全体、そして作品そのものの持つ雰囲気や意味合いが変わってしまうため、ここにかかわるアーティストは特に気をつけています。
実際のタイトルロゴデザインの過程については先輩デザイナー・ハマグチさんの記事が大変参考になります。こちらもぜひご覧ください!
MakeSのタイトルロゴデザイン
実に奥深い分野なだけにここまでの内容もほんの一例に過ぎませんが、いかがでしたでしょうか? 書体には実に豊かな表情があり、たとえ同じ文言であったとしても演出できる幅があるということを感じ取って頂ければ幸いです。書体を適切に使い分ければ、文字に対して文章以上の意味を持たせることだってできます。上手く使ってワンランク上のタイポグラフィを目指しましょう!
ヘキサドライブでのゲーム開発に興味をお持ちの方、テクニカルアーティストの方、「お前は本当に背景アーティストなのか」と問いただしたい方、「ドライブ」を通じて「ヘキサ」と向き合いたい方、エントリーをお待ちしております。
ヘキサドライブ 採用サイト
https://hexadrive.jp/recruit/
ということで、「続・書体の世界を覗いてみよう!」は以上となります。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
それではまた次回、お会いしましょう!
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